連載コラム

渡辺道代 氏

私の考える介護の質~家族の声~

家族支援の立場からは、介護職の人たちに対して、ケアしてくれることに感謝していることが多いと思います。
それゆえ、家族は多少の不満があっても、それを言わないことが一般的です。

【 Aさん 家族の発言 】

「ケアマネジャーや主治医と普段からよくコミュニケーションをとることも大切です。たしかに相性もあるけど、要介護者のことも、介護者自身のこともわかってもらう必要があります。介護者が楽になる発信してもよいと思う。あせらず、でも主張して、(嫌われないように)言い方をかえながら進めることが肝心だと思います。これ(コミュニケーション)が面倒くさくなってしまうといい方向には行かなかった。」

家族の調査でときどき聞かれる発言として、「ヘルパーや介護職はそれほどプロじゃない」という声が聞かれることがあります。
どんな時に聞かれるかというと、介護への不満というより、コミュニケーションへの不満であることが多いように思うのです。
「わかってもらえない」という感じです。
家族が「わかってもらえない」と感じるときは、やはりいいコミュニケーションがとれていないときだと思います。

家族が努力していないわけではなく、「介護する他の家族へどのようなことを伝えたいですか」と問うと「自分からコミュニケーションを取る」とか「感謝していることを伝える」、「いい関係をつくるようにする」などの発言も多く、ヘルパーやケアマネに対して、関係性に配慮して、積極的にコミュニケーションをとろうとしていいます。

介護するサイド、ヘルパーやケアマネなどからはかえって家族の気持ちや思いは見えにくいのかもしれません。
介護を受ける高齢者や障害者が支援の中心のため、その背後の家族の姿や思いまで理解しにくいのでしょう。
家族は介護を受ける高齢者や障害者の代弁者やケアをする人としての介護者の役割を担うとともに、家族自身の悩みや思いを抱えている存在として、理解することが必要とされるのです。

 

【 Bさん 家族の発言 】

「在宅介護ではべったりになってしまう。逃げる場がない。仕事でせっかちになっていて、職場で『イラついていませんか』と言われたときに気がついた。フラストレーションやストレスが溜まっていました。介護者が倒れると被介護者も倒れる。介護者にどれだけ『いい気持ち』(ストレスの緩和)ができるか、困ったときにセーフティネットを作れるか重要じゃないと思う。やさしい介護とか楽しい介護はなかなかできないが明るい介護はできると思う。介護者が気持ちを明 るくするために、その負担を軽減してくれるようなことがあるといい。介護者が明るくなれば、被介護者も明るくなるんです。でもなかなか1人ではできない。自分にストレスをためない。自分にやさしい気持ちがあったら、やさしくなれる。ゆとりがないとだめなんだ。ゆとりをもつためには、ストレスを捨てなきゃだめ。気持ちの切り替えのための小箱をどれだけ持っているかが大事だと思う。介護する人の感情はわかる。笑っていると笑う。怒っていると怒る。怒っていると声が大きくなって、鬼の顔になっているでしょう。そこだけは絶対ぼけない。人間の本能なんでしょう。ミラー現象というのだけど本当にそう。」

在宅での介護をしている家族は介護に起因するストレスを抱えています。
介護をしていく中で、自分自身のストレスに気づき、自分でストレスをコントロールしようとしています。

しかし、一人ではなかなかできないことが多いのです。

介護する家族はさまざまな感情に揺れ動きながら介護しています。
時には怒ってしまったことに後悔しながら。
しかしパーフェクトな介護は家族ゆえになかなかできないのです。

介護職はそのストレスに気づき、言葉を選んでコミュニケーションを取り、家族のストレスを緩和するような支援が求められているのです。