連載コラム

溝呂木大介 氏

今こそ介護としての組織力を高めよう

日本の介護は捨てたもんじゃない。

よく、北欧が福祉先進国だと取り上げられたりするけれど、それはあくまでその国の文化の中で、その国に住み慣れた人たちが、その国でしてきた生活を、年老いても、障がいを負っても継続できるということである。
日本には日本の文化があって、日本でしてきた生活を継続するための福祉サービスがたくさんあるのだ。

グループホーム・小規模多機能サービス・施設系サービス・在宅系サービス・どのサービスを覗いても、どの研修会に参加しても、芯のある、しっかりとした介護観を持ち合わせた介護士に必ず出会う。

そう、日本の介護はすごいのだ。
もっともっと日本の介護士は福祉を支える存在として評価されるべきだし、自信を持って良い存在なのである。

では、過小評価される原因は何だろうか。
介護は組織力が弱すぎるのだ。
東京都に限って言えば、約10万人の介護福祉士で、介護福祉士会に加入している人は約1600人。
職業倫理や原則もしっかりあるのに、みんなが個人の努力だけで何とかしようとし、自分の頭と体をすり減らしながら毎日毎日踏ん張っている。本当にすり切れちゃう人だっている。
今こそ介護としての組織力を高めよう。

介護福祉士を対象としたある意識調査では、専門性に対する不安の要素は経験値の低さとの相関が高い事がわかっている。
経験年数が上がるほどに多くの事例と向き合う機会が増え、その対応方法もより確立されるのである。
我々はこの高めた経験値を次世代に受け渡さなくてはならない。
たくさんの事例を積み重ね、我々が介護を始めた時よりも、明日から始める人の方がたくさんの参考事例を参照できる、そんな組織が今後求められる。

今日までの自分の努力と経験の蓄積が、明日からの介護の世界全体の質を向上させる。
介護にはそんな魅力もあるのだ。組織的に情報を共有することで進化し続ける本当の専門職集団として日本の介護の未来を支えよう。

いつの日か、子供たちが憧れる職業に介護福祉士をランクインさせる事が私の夢である。