連載コラム

小泉 晴子 氏

「駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋をつくる人」

介護を考える時、母が言っていたこのたとえを思い起こします。
「人には境遇によって甚だしい差がある」と母は言っていたのですが、私はもう一つの意味「人と人との社会的なつながりを示すたとえ」(広辞苑第四版)として、介護に当てはまるなぁと思うのです。
介護が話題になる時、介護の担い手である介護職がどうあるべきか、介護方法、介護保険制度など、「駕籠を担ぐ人」の問題が取り上げられます。
また、最近は、地域を支えるボランティアのことも話題になります。
「そのまた草鞋をつくる人」です。
「駕籠に乗る人」、つまり認知症等の障がいを抱えた人は、介護の対象として「予防に励んで下さいね」としか問題にされません。
私たちは誰でも年を取ります。
誰でも何れは「駕籠に乗る人」になって、介護保険を使うか否かは別にして、多かれ少なかれ介護を受ける立場になります。
その時、上手に駕籠に乗ることが出来るか、自分の問題として考えてみなければなりません。
「駕籠に乗る」は一見楽チンなようですが、意外と難しい。
物の本によると江戸時代の老中は登城の際、駕籠はいつも駆け足だったそうで乗り心地は悪かったようです。
また、忠臣蔵に出てくる、国元に浅野内匠頭刃傷、切腹を知らせる早駕籠は、乗り手も命がけだったそうです。
それ程危急の場合でなくとも、乗り方に慣れていないと乗り物酔いをしたり、担ぎ手に気を遣ったりで、楽ばかりでは無かったと言います。
現代の「駕籠に乗る人」つまり介護を受ける人も、要介護になった時の心構えや事前の準備がないと駕籠の乗り心地は悪くなります。
次回は、上手に駕籠に乗っている方の例をご紹介したいと思います。