連載コラム

市川勝 氏

リハビリテーション専門職の立場から考える「質」

皆さんの身近なところに、言語聴覚士はいますか?

言語聴覚士とは、事ばによるコミュニケーションや摂食嚥下に困難さのある人に専門的サービスを提供し、その人らしい生活を構築できるよう支援するリハビリテーション専門職の1つです。
現職者の約7割が医療機関に勤めている現状もあり、介護保険領域の皆様にはまだまだ馴染みの薄い職種かもしれません。

さて、今回はリハビリテーション専門職の立場から「質」を考えてみたいと思いますが、そもそもリハビリテーションとは何でしょうか?
ひと昔前までは、いわゆる「機能訓練」の同義語として捉えられる事も多くありましたが、文献を繙きますと「障がいのある人に、自らの人生を変革するための手段を提供する事を目的とする過程」(国際連合, 1982)であり、「障がいのある人の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含む」(WHO, 1981)ものがリハビリテーションであると定義づけられています。
そして、医師、介護職、リハビリテーション専門職、その他多くの職種のチームワークにより実践されるものである事は言うまでもありません。

ここに、左脳梗塞の後遺症により歩行障がいと失語症のある方がいらっしゃるとします。
上記の定義に従えば、その方のリハビリテーションとは「歩けるようになる」「コミュニケーションが取りやすくなる」事に留まらず、それらの能力を基盤に「生活の中でいつ・どこで・誰と・どのように・何をしたいか」という目標を明確にし、その目標すなわちその方にとっての社会的統合を目指す過程全てを指す事になるわけです。
そのように考えますと、リハビリテーションの質とは、この社会的統合の「達成度合い」とそれに対する「対象者自身の満足度や幸福度」などにより規定されるものといえるかもしれません。

次回は、目指すべき社会的統合のあり方を、支援者としていかに共有していくかについて考えてみたいと思います。