連載コラム

市川勝 氏

コミュニケーションに難しさのある人の社会的統合に向けて、私たちにできること

対象者の社会的統合に向けては、客観的な情報だけでなく、対象者自身がこれまでの生活と現状の生活のギャップに対してどのように感じ、何を考えているか、という主観的な視点もアセスメントする必要があります。

ここで留意すべきことは、対象者がコミュニケーションに難しさを抱えている場合です。
コミュニケーション障がいの種類としては、失語症(話す、書く、聴いて理解する、読んで理解することが難しい)や運動性構音障害(呼吸・発声・構音など発声発語器官の機能低下により発話が聞き取りにくい)、声帯の機能的または器質的問題による音声障害(声の質・高さ・大きさ、発声努力が変化する)などがあります。
アルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症の方に失語症状が、あるいはレビー小体型認知症の方に運動性構音障害がみられることもあります。このように、私たちが支援する方々の中には、コミュニケーション障がいにより、対話から十分に情報を得ることが難しい方が少なからずいらっしゃいます。

このような場合には、その対象者に合わせたコミュニケーション方法を用いながら、表情やジェスチャーなど非言語的な情報も含めて私たちが推測していくことが重要となります。
例えば、失語症の方であれば、聴覚的な理解と視覚的な理解のどちらが得意なのかを見極めること(視覚的な理解が比較的保たれているのであれば、漢字単語や絵などを媒介にやり取りをすることで対話が成立しやすくなります)、あるいは運動性構音障害の方であれば五十音表を活用しながら対話を進めることが有効です。
もちろん、このようなアセスメントのプロセスに言語聴覚士という職種を活用していただくことも、有意義であると思います。

結論として、どのような障がいがあっても、その方が「望む生活」「したいこと」を実現するために努力し、協働し、結果を出すこと―これこそが質の高い介護であり、リハビリテーションであると考えます。