連載コラム

宮下剛 氏

摂食嚥下障害の質

担当の利用者が摂食嚥下障害の場合、介護関係職の皆様は何に着目されるでしょうか。
職種や利用者の状況により多くの視点があると思います。

生命リスクのある摂食嚥下障害の捉え方として、軽度・中等度といった重症度や病態等、摂食嚥下障害自体の”レベル”のような観点は重要です。
一方、利用者の生活・人生において、摂食嚥下障害がどのような意味であり、どう位置づけられるのか、という考えも大切です。

摂食嚥下障害の”レベル”に対し、”質”として捉える考えになるでしょうか。
たとえば、自宅で3食摂取可能も、人前でむせることを嫌い、外出を控えることがあります。
その人にとっての摂食嚥下障害は3食経口有無でなく、生活習慣に影響を及ぼすことを意味します。

また、重度の飲み込み困難の場合、全身状態によって生命リスクが異なるため、利用者により”一口食べる”という重み、一口の位置づけは異なることもあります。
軽度の摂食嚥下障害では、食種の制限が関係者の予測以上に苦痛な利用者もいれば、その逆の場合も考えられます。

このように摂食嚥下の機能や経口摂取の有無だけでなく、それぞれの利用者の生活・人生といった全体像のなかで、摂食嚥下障害との関係性を捉えることが摂食嚥下障害の質の評価といえるでしょう。

介護・医療の連携水準引き上げが求められるなか、摂食嚥下障害の質についても、多職種で情報共有ができれば望ましいと考えています。

【 ICF 】
利用者における摂食嚥下障害の質を捉えるには、ICF(国際生活機能分類)が参考になります。ICFは、2001年にWHO(世界保健機構)が承認し、人の生活機能と障害およびその背景因子を分類したものです。

摂食嚥下に関わらず、その人にとって何ができて何ができないのかを心身機能や身体構造、活動や参加といった構成から捉えることができます。

次回はICFの捉え方を参考に、摂食嚥下障害の質を考えましょう。