連載コラム

宮下剛 氏

ICFから捉える摂食嚥下障害の質

前回紹介のとおり、ICFはその人にとって、何ができて何ができないのかを「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」という構成から捉えることができます。
たとえば、歯の欠損や筋力低下、嚥下が適切にできない、という解剖生理的問題は、「心身機能・身体構造」の障害として分類されます。
ムセのため食べられない、硬いものが食べられない、など食べることの制限は「活動」の障害となります。

外食が困難、食事のある集会や団らんを欠席するなど社会生活の制約は「参加」に分類されます。
その人における摂食嚥下障害の意味、質を考える場合、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」のすべてを捉えることが重要で、偏った観点、たとえばムセの有無、食事の可否だけを判断することは、一部のレベル評価にすぎません
また、何が「できない」だけでなく、摂食嚥下以外も含め、何が「できるか」に着目することが重要です。
「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の項目、詳細は厚生労働省のホームページに掲載されているのでご参考ください(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html)。

ところで「心身機能・身体構造」の舌の運動障害があれば、「活動」の食べることに影響を与えるように、各構成要素は互いに影響を受ける関係ですが、「心身機能・身体構造」=「活動」=「参加」という、完全な等号関係(イコール)ではありません。
舌の運動障害に関わらず、つまり本人の「心身機能・身体構造」に変化なくても、食事の物性や姿勢により食べることが容易、または困難となり、食べる「活動」が変わる場合もあります。
本人の機能や活動動作に変化なくても、協力者や店によって、外食や食事を含む集会の「参加」制約が異なる可能性があります。

摂食嚥下障害の質を考えるとき、ICFの各構成の独自性と影響を整理して捉えることが参考になるでしょう。