連載コラム

伊藤史人 氏

ICTを活用して重度障害者の「健康」を高める!

「健康」と「ICT」の関係は、実はとても密接です。重度の身体障害があればあるほどその関係は深くなるのです。

ICF(国際生活機能分類)では、私たちの生活は「心身機能・身体構造」と「活動と参加」の2つで構成されると定義しています。
さらに、これらの背景として「環境因子」と「個人因子」の2つをあげています。
つまり、身体的には病気も障害もなく「健康」であっても、社会参加も叶わずやりたいこともできない環境では「健康状態」はよくないという評価になるのです。

では、「健康」と「ICT」はどう関係するのでしょうか。
私たちの生活はICT無しには成り立ちません。
多くの人は朝起きたらネットニュース、メールやLINEをチェックするでしょう。
また、会社に行けばパソコンとインターネットを駆使して作業をする方も多いと思います。
もし、これらが使えなくなれば、仕事はできませんし、家族や友達とも連絡が取れません。
結果、ICFでいう「健康状態」は著しく低下してしまいます。

そもそも、現代社会は高度にICT化しており、その例は電車の運行管理、自動車の制御や街中の信号機など枚挙に暇がありません。
ICTがなければ、きっと会社にもたどり着けないでしょう。
私たちはどっぷりとICTのお世話になって生きており、それなしには今の生活は営めないのです。

さて、重度障害者の場合はどうでしょう?
身体的に健康な人であれば普通にペンで文字を書けますし、パソコンやスマホを操作できます。
文字を書くという面だけみれば、ICTがなくても問題ありません。
一方、ALSの方であればペンを持つ力も無く、脳性麻痺の方であれば不随意運動により正しく文字が書けないことでしょう。
いわゆる健常者が普通にできることも重度障害者には大変な困難があるのです。

それを助けるのが「ICT」です。
視線入力で文章を打ち込み、その文章を読み上げてコミュニケーションを取ることができます。
インターネットを使えば,寝たきりでも仕事も勉強も可能です。
これは、まさに「健康」が高まっている状態。
ICTによる身体拡張により社会活動を活性化し、身体障害がありながらも「健康状態」を向上することができるのです。